I am proud.

画像
とても小さな誇りだ。
僕の机のそばには、こんな写真が飾ってある。
何でもない、槍ヶ岳の頂上でみんなで撮った写真だ。

あの時、その場にいた、どこの誰かも知らない“山の仲間”に撮ってもらった1枚だけど、いつも僕を勇気づけ、支えてくれるワンショットなのだ。


天気はとても悪かった。

数年前の9月の初旬。
前日の殺生までは、超快晴の山のぼり日和。

槍ヶ岳山荘に着いた頃には雨が降りはじめ、小屋の中にはたくさんの登山客がいたにも関わらず、戸外には誰もいない。

“穂先”の根元で声をかけてきた女性が1人登って行っただけで、僕たち以外に山頂を目指す者もいない、“視界ほぼゼロ”の最悪の条件だった。

風も強かった。
まだ下界の“夏真っただ中”の感覚でいた僕たちは、岩壁の途中で「(本当に)横から」「(マジで)下から」吹き付けてくる風と雨に凍えた。

そこで僕は初めて、自分の鼻から意図せず流れ垂れ下がる“鼻水”が、風に吹かれ、なびかれ、そして飛んでいくようすをつぶさに見ることができた。

そして、頂上へ。

この山のぼりのタイトルは、『アルペンをどり大作戦』だった。
なので、さっそくダンシング…、をする精神的、時間的、気象条件的余裕もなく、3人で『アルプス一万尺』を全力で歌った(何でや?)。
肩の小屋からは、2時間半経っていた…。


日常、僕は何かあるたびに、無意識でもこの写真に必ず一瞥をくれる。
あの時のイキオイと、マインドと、小さな作戦を遂行した達成感が、僕の小さな“誇り”となっている。



…と、実は、ここまでは半年くらい前に書いていた。

まったく、“書きかけ”ばかりで本当に困る。

で、なんで復活してきたのかというと、一緒に槍ヶ岳に登った仲間にニュースがあったからなのです。

というのも、仲間の一人は右腕が動かない。
バイクどうしの“正面衝突”という、想像するだけでサブイボが出て、極度な貧血になって卒倒してしまいそうな事故でそうなってしまった。

彼の病室に駆け付けた時、今まで見たこともない彼の状態を見て、僕は思わず廊下でヘタリ込んでしまった。
今でもその時のことを思い出しただけで、胸がキリキリいいだす。
なので、ここら辺の話はすっ飛ばすことにするのだ。

山のぼりでは教科書通りの“3点支持”をしたら、まったく動けなくなってしまう、というのは彼特有の自虐ネタ。
しかし、槍の穂先で片手が使えないという状況が想像できるだろうか?
それを彼はやり遂げた。

上の写真は、“僕”が写っているからではなく、その“彼”が写っているからこそ、ずっと僕を支えてくれているのかもしれない。


お、そうだ、ニュースだ。
これまで過度な運動やスポーツを禁止されていた彼が、リハビリで通う病院の主治医に「トレーニングしたいから走っていいか?」ときいたらしい。

ちょっと補足すると、彼の場合、神経が分断されてしまっているので、自分の力で動かすどころか、感覚もほとんど麻痺している。前は指先の触角を脇の下で感じたりしていた(最近少しは回復してきたみたいだけど…)。

片腕が動かないというのは、僕たちが想像している以上にさまざまな影響が出てくる(あ、社会性や精神面への影響は僕たちには計り知れない)。
“動かない”ということは“筋肉(力)がなくなる”ということと同じで、彼の肩から先はビックリするくらい細くなった。それを補うために動くほうの腕を強化するので、ビックリするくらい太くてゴツくなっている。

これだけでもバランスが悪そうなのだが、運動中のバランスや平衡感を保つということ、これもまた想像以上に難しいことらしいのだ。
たとえば僕たちが片手を使わずに運動や作業をしたとしても、無意識のうちに使わない片手がバランスや運動の補足をしている。それはいくらダランと力を抜き切っても、体感は絶対できない。
しかも、「いざとなったら両手を使えばいい」という“精神的な保険(甘え)”もある。僕たちは常にアタマで考えている以上に四肢を駆使してバランスを取り、運動(動き)を支えている。

ほかにも、運動中にバランスを崩して転倒などをした場合、骨格を守る筋肉自体がないので、簡単に脱臼や骨折をしてしまう危険性が大きいらしいのだ。

デコボコ道を歩き、大きな段差を越え、バランスが必要とされる岩稜を歩き、3点支持で岩を登る…といった運動、つまり登山などは、一番やってはイケナイスポーツなのではないのか?

オマケに、感覚がない腕は、寒さ(冷たさ)も直に感じ取ることができず、寝返りを打って右腕が体の下敷きになって血流を阻害しても、シビレる感覚がないので分からない。手術で神経が通る場所が変わった(違ってたらゴメン)ので、通常のザックは背負えない…などなど。


でも彼は、山に登り、テントで眠るのです!



あぁ、イケナイ。また補足脱線しすぎた。

で、トレーニングだ。
苦しいリハビリをこれまで長く続けてきたかいがあって、脱臼などの心配も少なくなってきたらしく、“骨折防止用装具”装着を条件に、「OK!」が出たらしい。

ま、彼のことだ。また過激なトレーニングに奔って、よからぬことにならなければいいのだが…。
とか考えようとしたら、「…なんなら」と主治医のOKには続きがあった。

「なんなら、パラリンピック出ないか?」

「チームドクターが知り合いだから紹介する…」


と突然降って湧いた話に飛躍!
“過激なトレーニング”どころか、“もっとキツ~イトレーニング”が、しかも正しいやり方でできるじゃないか!

行け行け! GoやGo!

少し調べてみたら、パラリンピックの競技種目というのは結構複雑で、“オリンピックなら1種目”が、いくつもにカテゴライズされていて、正直分かりにくい。

ということもあってか、彼自身も迷っているよう。
もちろん、“やるからにはハンパができない”彼だからこその迷いなのだろう。

えっ~と、次は…、ロンドンやな!

応援行くで~!


あと2年。どうなっていくかがとても楽しみだ。




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この記事へのコメント

チッチリチー
2009年12月13日 16:10
まっ計画的な無茶の産物やね。
ΩΩ
2009年12月26日 03:06
チッチリチーさ~ん!
意味が分かりませぬ~っ!!!

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